「死刑について考えてみよう 補講」
日本の「罪と罰」の現場から
呼びかけ
シビルでは、2011〜2012年にかけて、6回にわたる講座「死刑について考えてみよう」を持ちました。死刑廃止が世界の趨勢であり、お隣の韓国では事実上死刑が廃止されていても、日本での死刑存置の世論は変わりません。講座では、死刑制度の歴史、中国やアメリカ、北欧の例、永山則夫氏の裁判やオウム事件をめぐって学び、監獄の現状や不寛容な日本社会の現状について問題意識を深めました。そして、いつか「補講」を持とう、と考えてきました。
講座が終わったあとにも、何度かの死刑執行が行われ、12名の方たちが処刑されました。裁判員制度が始まって4年余りが経ちました。裁判員の中には、「死刑判決」の重い判断に加わった経験から精神的苦痛をうけ、訴訟を起こした人もいます。「日本の罪と罰」の現状をめぐる問題を、私たちはもっと知り、考える必要があります。
今回、死刑にこだわらず犯罪と裁判・刑務所など、現場に近い方、当事者といいうる方を講師に招き、お話を聞き、考えようと、上記の「講座」を持つことになりました。多くの方の参加をお待ちします。
☆会場 柴中会公会堂(JR中央線立川駅南口徒歩3分/モノレール立川南駅徒歩1分)
☆定員 30名
(定員一杯になりしだい締め切ります)
☆受講料 1回 1000円
(会員・学生・経済困窮者 1回 800円/
全回前納者は2500円・会員2000円)
☆お問い合わせ/申し込み
シビル1階事務室(平日13:00〜19:00)
電話:042-524-9014
メール:civiltachikawa@yahoo.co.jp
●オススメ 郵便振替口座で前納申し込み
00170-0-481827 シビル運営委員会
振替用紙に、どの回を申し込むか、氏名・住所・電話・アドレスなどを明記してください。(用紙は郵便局にあり)
【講師略歴と講座概要】
第1回 2013年10月14日(月/休日)14:00〜17:00 柴中会公会堂
「犯罪被害者にとって必要な支援とは?」
講師:片山 徒有(かたやま・ただあり)さん
日本では、殺人事件などが起こると厳罰を求め、被害者遺族になり代わったように死刑判決を求める空気がある。では、大切な家族の命を失ったその遺族が、新たな命を奪うことで問題は解決されるのだろうか?
片山徒有さんは、1997年11月、世田谷区砧で息子「隼(しゅん)」さんを交通事故で失った。被害者遺族となり、その痛手から立ち直るきっかけとなったのは多くの人の支えだったと語る。片山さんは2000年、被害者家族を会員とする「あひる一会」を結成。その後、「被害者と司法を考える会」を結成して活動の幅を広げた。2004年からは、少年刑務所で収容者向けの講演講師、グループワーク、個別指導をはじめた。著書に『隼にとどけ七通の手紙』、『犯罪被害者支援は何をめざすか』がある。司法の現場にとりくむ経験の中からお話を伺います。
第2回 2013年10月19日(土)14:00〜17:00 柴中会公会堂
「社会として罪を犯した人と向き合うこと」
講師:田口 真義(たぐち・まさよし)さん
裁判員制度が始まって4年余り。2013年7月現在、裁判員や補充裁判員として制度に参加した人は約3万9千人。裁判員裁判で下された死刑判決は19件にのぼる。
裁判員制度を通じて、刑事司法制度への関心が高まったといわれる一方で、厳罰化がすすんでいるとの懸念も指摘されている。死刑判決の重い判断に係わった経験で精神的苦痛を受けたとして、裁判員経験者が訴訟を起こすなど、様々な問題も浮かびあがっている。
田口さんは、2010年9月、東京地裁で保護責任者遺棄致死他事件の裁判員を担当。裁判員経験者同士の交流と地域社会への経験還元を目的とした裁判員経験者だけの団体(略称:LJCC)を結成。現在、執行猶予中の方を含む2名の身元引受人でもある。その体験から、罪を犯した人と向き合うこととは何か、を語っていただきます。
第3回 2013年11月9日(土)14:00〜17:00 柴中会公会堂
「私は刑務所でなにを見てきたか」
講師:折山 敏夫(おりやま・としお)さん
有罪判決を受けた人が送られる刑務所。その実態を私たちはほとんど知らない。受刑者はどのような処遇をうけているのか。受刑者の更生にむけた取り組みは行われているのか。刑務所の中で、人としての尊厳は尊重されているのだろうか。無期受刑者は現在1800人を超える。死刑確定者は、130人を超えている。その現状は?
折山敏夫さんは、1985年殺人容疑で逮捕され、冤罪の訴えも届かず懲役20年の判決を受け、千葉刑務所で服役。2007年11月に満期出所。逮捕当時より、一貫して冤罪を訴え、現在、東京地方裁判所に再審請求中。また、死刑確定者の支援活動にも取り組んでいる。
無実を訴えて23年にわたる獄中生活を体験した当事者である折山さんに、刑務所の現場から見た刑事司法の実態をお聞きします。