関東大震災<朝鮮人・中国人虐殺>100年を考える
― 私につながる歴史として認識し、克服するために ―
【 開講趣旨 】
関東大震災の際に朝鮮人虐殺があったことは、多くの日本人が知っているだろう。しかし、その「知っている」は、遠い歴史の彼方の出来事で、今を生きる私たちにとって、何の繋がりのない、歴史の一コマに過ぎないものかも知れない。しかも100年も昔の話であり、そのような虐殺など、そもそも事実かどうかさえ怪しい、と思いはじめた者も少なくないようだ。
現に、この国の首都を代表する小池都知事は、 就任翌年の2017年以降、虐殺犠牲者を悼む式典への追悼メッセージをいっさい送らず、関東大震災における朝鮮人虐殺については、「何が明白な事実かについては、歴史家がひもとくものだ」(2023/2/21)と、実質的に虐殺の事実を否定している。「亡くなられた全ての方々に対し、哀悼の意を表している」という言葉によって、虐殺という人災を自然災害に溶解し、中立を装っている。都知事のこうした公式発言が、虐殺を肯定し、差別によるヘイトクライム(憎悪犯罪)を助長することにつながっている。
かつて、都知事として、「不法入国した多くの三国人、外国人の凶悪な犯罪が繰り返されており、震災が起きたら騒擾事件が予想される」(2000/4/9、他)といった「凶悪な」差別的妄言を繰り返した石原慎太郎氏は、批判を受けて政治生命を失っただろうか。こうした民族排外的な思想(レイシズム)は、この国では克服されず、今なお多くの人々の意識の底に暗く潜在しているのではないだろうか。
今回のシビル市民講座では、こうした歴史修正主義の潮流に抗し、今なお国家的謝罪もなく、なにひとつ未清算のままの関東大震災における異民族・異人種大虐殺(ジェノサイド)の事実を確認し、日本人としての歴史的血債(民衆責任)を克服する方途を共に探りたい。
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会場 柴中会公会堂 (JR中央線 立川駅南口 徒歩3分 モノレール立川南駅 徒歩1分) 地図参照
定員 40名 ★申込受付開始 5月15日(月) 14時〜 (定員に達し次第、終了)
受講料 1回 1,000円 会員・学生 1回 800円 全6回前払: 5,500円、会員 4,500円)
☞ お申込み後、郵便振替でご入金を。 口座番号・名義:00170-0-481827 シビル運営委員会
問合せ/申込み 電話またはEメールで、シビル事務局へ(メールは返信を確認のこと)
Tal:042-524-9014 mail:civiltachikawa@yahoo.co.jp
一般社団法人 市民の学習・活動・交流センター
シビル
tel
042-524-9014 fax
042-595-9431 立川市柴崎町3-10-4
【講座概要 2023年6月〜11月】
(各回ともに 時間:13:30〜16:30 会場:柴中会公会堂)
第1回 6月19日(日)
「九月、東京の路上で」、何が起きたのか
第2回 7月23日(日)
「虐殺」はなかったことにしたい人々の「論理」を検証、その「トリック」を暴く
講師:加藤直樹(第1回&第2回)
生まれ育った東京の路上で、在特会などのヘイトスピーチに抗議する行動を続けた2013年から、「虐殺」の残響を求めて、各地の現場を歩き、現在につながる歴史を呼び起こし、確認する作業をまとめた『九月、東京の路上で』の成果から学ぶ。さらに、「朝鮮人虐殺」はなかったことにしたい人々の虚構の論理を暴く。
第3回 8月6日(日)
「ほうせんか」の犠牲者追悼活動から学ぶ
講師:西崎雅夫(ほうせんか 理事)
1982年夏から荒川放水路河川敷の発掘調査と生存者証言の聞き書き、殉難者の追悼を続ける市民団体「ほうせんか」の活動から学ぶ。番外編として、「虐殺の現場を歩く」フィールドワークを8月20日に実施。
第4回 9月23日(土/祝)
王希天の死から中国人虐殺の背景に迫る
講師:林 伯耀
1923年9月12日未明、亀戸署から後手に縛られ、連行された中国人青年(王希天)は、中川の逆井橋下の土手で、陸軍士官学校卒の軍人により、背後から斬殺され、中川に投げ込まれた。なぜ彼は殺されたのか。朝鮮人虐殺の影に隠れ、中国人虐殺はなぜ起きたのか。王希天の活動を通し、「大島町事件」など、関東大震災時の中国人大虐殺について確認する。
第5回 10月22日(日)
「100年後の今、関東大震災から考える」(対談)
太田昌国X趙 博
日本人の立場から太田昌国氏と、在日朝鮮人の立場から趙 博氏(浪速の歌う巨人 パギやん)の二人による総括的対談と提起を聴く。さらに参加者全体からの質疑応答を交え、全体的な討論を行う。趙 博氏は、今秋公開予定の映画『福田村事件』にも出演。
第6回 11月12日(日)
朝鮮人虐殺の歴史的背景を探る
講師:慎 蒼宇(法政大学教授)
「天災」としての関東大震災に際し、朝鮮人虐殺という「人災」はなぜ起きたのか。虐殺の担い手は軍隊・憲兵・警察及び一般民衆だが、その背景に、朝鮮の植民地化と、その中での軍隊経験・他民族抑圧・抵抗運動弾圧などの暴力的経験があった。ここでは、大震災での虐殺に到る背景として、「三・一独立運動」弾圧など、朝鮮での植民地化支配以降の経験を、歴史的に考察する。