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シビル市民講座 【シビル市民講座 第16期】 2012年9月〜12月

国交正常化40年─ちゃんと知りたい中国と日本


  第1回 日中間の歴史認識の溝と相互理解  講師と概要
9月29日(土)14:00〜17:00   講師 : 歩 平さん(中国社会科学院近代史研究所)

  第2回 日中国交正常化の前と後  講師と概要
10月13日(土)14:00〜17:00  講師 : 伊藤 一彦さん(一般社団法人中国研究所常任理事)

  第3回 中国残留邦人 ─ 終わりなき旅  講師と概要
10月27日(土)14:00〜17:00  講師 : 井出 孫六さん(作家)

  第4回 私は歴史の中にいる ─ 帰国二世の生活と意見  講師と概要
11月10日(土)14:00〜17:00  講師 : 李 艶波さん(中国帰国者の会)

  第5回 遥かなる絆を求めて ─ 父の“故郷”への旅  講師と概要
11月24日(土)14:00〜17:00  講師 : 城戸 久枝さん(ノンフィクションライター)

  第6回 中国脅威論をめぐって ─ 日米安保と中国軍  講師と概要
12月8日(土)14:00〜17:00   講師 : 前田 哲男さん(軍事問題研究家)

呼びかけ

 1972年、電撃的な田中角栄首相の訪中で実現した国交正常化。それから40年、日本と中国の経済的な関係は切っても切れないものになりました。国境をこえて友人になった人もたくさんいます。戦争責任をめぐる現地での調査活動も可能になりました。「慰安婦」や強制労働に対する戦後補償裁判が起こされ、歴史問題に向き合う若い人びとも増えました。
 しかし全体としてみると、民衆相互の認識には大きなへだたりがあります。中国漁船だ捕事件のときは、中国の若者たちが反日デモで気勢をあげ、一方で、中国の軍拡を喧伝することで自衛隊や在日米軍の強化、更にオスプレイの配備が正当化される空気があります。それでよいのでしょうか?
 この講座が、日中国交正常化から40年の成果と問題を学び、日本と中国、さらに民衆同士の国境を越えた交流の未来を考える場になることを願います。

☆会場 柴中会公会堂(JR立川駅南口徒歩3分/モノレール立川南駅徒歩1分)
柴中会公会堂
☆定員 30名
 (定員一杯になりしだい締め切ります)

☆受講料 1回 1000円
(会員・経済困窮者・学生 800円/
 全回前納者 会員4000円 非会員5000円)

☆お問い合わせ/申し込み
 シビル1階事務室(平日午後1〜8時)
 電話:042-524-9014
 メール:civiltachikawa@yahoo.co.jp
郵便振替口座での申し込み可
 00170-0-481827 シビル運営委員会

振替用紙に、どの回を申し込むか、氏名・住所・電話・アドレスなどを明記してください。(用紙は郵便局にあり)


【各回の講師と概要】

第1回 2012年9月29日(土) 「日中間の歴史認識の溝と相互理解」

 講師:歩 平(ぷー・びん)  北京で生まれ、文化大革命の時代、東北地方で青年前期を送った歩平氏は、その後、ハルピン大学で歴史学を学んだ。黒竜江省社会科学院時代には、日本軍の遺棄毒ガス兵器の現地調査を日本の研究者も同行して行い、『日本の中国侵略と毒ガス兵器』(明石書店/1995)の著書がある。中国社会科学院近代史研究所学芸委員会主任、元所長。日中歴史共同研究中国側座長。

 日中間の歴史をめぐる論争は、第二次世界大戦終結後、今日まで止んだことがない。国交正常化から40年、両国の民間・政府間の対話の中ですでに幾つかの成果も出されているが十分とはいえない。民衆レベルでも、戦争体験の相違からくる「被害」と「加害」の意識には大きな溝が存在し続けている。「相互理解/国境を超える歴史認識」が大きな課題だ。氏も編纂に参加した高校歴史副読本『未来を開く歴史』(共著/高文研/2005)は、近く改定版が出る。歴史研究を媒介にした交流も深い氏にお話を聞き、討論を深めたい。


第2回 10月13日(土) 「日中国交正常化の前と後」

 講師:伊藤 一彦(いとう・かずひこ)  1946年東京生まれ。東京大学を経て国会図書館に勤務。75年から宇都宮大学国際学部で現代中国論、国際政治論を担当した。現在、法政大学で教えるかたわら、中国研究所理事・寄せ場学会運営委員を務めている。著書に、「日中関係─国交正常化30年と21世紀の展望」(『中国21』2005)、『満鉄の調査と研究─その「神話」と実像』(共著/青木書店/2008)がある。

 近代の日中関係史は日本の侵略が基調となっている。第二次世界大戦後も不正常な状態が続いたが、1972年、国交正常化が実現し、友好ムードが高まった。それから40年。経済や人的交流の面で両国関係は深化拡大する一方で、相手のマイナス面を知ることにもなった。国交正常化交渉で先送りされた問題も顕在化し、近年、両国国民の相手国に対する感情の悪化が顕著だ。その背後に偏狭なナショナリズムの昂揚が指摘されているが、その止揚の道は? 国交正常化から40年、その成果と課題を学び、討論したい。


第3回 10月27日(土) 「中国残留邦人 ─ 終わりなき旅」

 講師:井出 孫六(いで・まごろく)  1931年長野県生まれ。東京大学卒業。『秩父困民党群像』で作家デビュー。長い間「残留婦人・孤児帰国」問題に関わってきた。『終わりなき旅─「中国残留孤児」の歴史と現在』(1986)、『中国残留邦人─置きさられた60年』(岩波新書/2008)の著書がある。

 井出氏出身の長野県からの「満州開拓移民」は全国一の31,264名(二位は山形県の13,252名)だった。1981年、「残留孤児」肉親探しと帰国の問題が脚光を浴びる。1993年には、戦争終結時の年齢で差別された残留婦人12名が、集団帰国を決行した。そして2001年、「中国残留邦人・残留婦人」たちの「国家賠償請求訴訟」が起こされた。その支援の活動にも中心的に関わってきた。講座では、なぜ33万人もの人々が「満州」に送りだされ、そしてその多くが置き去りにされたのか、を問うことからはじめたい。残された日本人「孤児」たちを育てた中国の養父母たち、帰国者・家族の日本での生活の困難……。国策と民衆の関係、社会のあり方を問いたい。


第4回 11月10日(土) 「私は歴史の中にいる ─ 帰国二世の生活と意見」

 講師:李 艶波(り・えんば)  1968年、黒竜江省勃利県に生まれ育つ。父親の両親(祖父母)は、長野県から送りだされた開拓団員だった。祖父母は、1945年8月に、ソ連軍の爆撃で死亡した。残されたきょうだい4人はそれぞれ中国人養父母に育てられた。父は成人して家庭を持ち、李さんたち3人のきょうだいが生まれた。永住帰国した父親の元に呼び寄せ家族として来日したのは1996年、李さん28歳のときである。

 李さんは懸命に日本での居場所を探しつづけた。現在は、自治体の窓口支援・相談員として帰国者の生活支援に力を注いでいる。
 2001年、元残留婦人・孤児たちがおこした国家賠償を求める集団訴訟に、李さんは支援通訳として関わった。その中で学んだ李さんは、「帰国者」の若い世代が助けあえる場、真の自立を目指して生き生きとくらせる日本社会作り提案する。精力的な李さんの提言に耳を傾けたい。中国帰国者の会編集の『わたしたちは歴史の中に生きている』に、李さんのインタビューが掲載されている。


第5回 11月24日(土) 「遥かなる絆を求めて ─ 父の“故郷”への旅」

 講師:城戸 久枝(きど・ひさえ)  愛媛県生まれ。中国・吉林大学に留学し、現代日中関係史を学ぶ。出版社勤務を経て、2005年からフリーランスのライター。「日本生まれの中国残留孤児二世」という立場・視点から、残留孤児、残留婦人、二世、三世への取材活動を続け、ルポルタージュを執筆。著書『あの戦争から遠く離れて─私につながる歴史をたどる旅』(情報センター出版局/2007)は、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し、09年、『遥かなる絆』(NHK)としてドラマ化された。近著に『長春発ビエンチャン行青春各駅停車』(文芸春秋)。

 1997年からの中国残留孤児だった父親の半生をたどるための旅─中国・長春市への留学、父の育った牡丹江の親戚を訪問─10年に及ぶ取材から学んだことをふまえて、今後の日本と中国との関係を考えたい。また、広い取材経験を踏まえて、明日のアジアを担う世代の現在や民衆同士の交流などの紹介をお願いし、質疑・討論につなげていきたい。


第6回 12月8日(土) 「中国脅威論をめぐって ─ 日米安保と中国軍」

 講師:前田 哲男(まえだ・てつお)  1938年」福岡県生まれ。長崎放送記者だった1960年代から、在日米軍、自衛隊、安保、核問題を中心に現場での取材経験を積む。軍縮を含む武力によらない安全保障の問題について、発言・著作を続けてきた。著書に、重慶爆撃を中心に取材した『戦略爆撃の思想』(凱風社/2006)、近著に『フクシマと沖縄』(高文研/2012)その他。

 東日本大震災と福島原発事故に際して、自衛隊10万人の災害出動があった。だが、その間隙をぬって、周辺諸国が日本に攻め入ることはなかった。福島も沖縄もともに国策の犠牲者であるのに、なぜ沖縄全島あげての基地撤去の声に政治は耳を傾けないのか? 国交正常化から40年、経済的な関係は深まったにもかかわらず、「中国の軍拡」が喧伝され、人びとの心をとらえるのはなぜか? 中国への取材経験も豊富な軍事問題研究家である前田氏を迎えて、じっくりとお話を聞き、討論したい。


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