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シビル市民講座 【シビル市民講座 第23期】 2011年11月〜2012年2月

死刑について考えてみよう


  第1回 死刑っていったい何なのか? ─ 世界・アジア・日本  講師と概要
2011年11月26日(土)14:00〜17:00  講師 : 寺中 誠さん(東京経済大学)  

  第2回 死刑判決と死刑囚のいま ─ 日本ですすむ厳罰化の波  講師と概要
12月10日(土)14:00〜17:00  講師 : 田鎖麻衣子さん(弁護士/監獄人権センター)  

  第3回 死刑で治安を守れるか ─ 中国のケース  講師と概要
12月23日(金)14:00〜17:00  講師 : 王 雲海さん(一橋大学)  

  第4回 永山事件と永山基準が現代に持つ意味  講師と概要
2012年1月21日(土)14:00〜17:00  講師 : 大谷 恭子さん(弁護士)  

  第5回 アメリカ・癒しと和解の旅から ─ ジャーニーオブホープの試み  講師と概要
2月4日(土)14:00〜17:00  講師 : 坂上 香さん(津田塾大学/ドキュメンタリー作家)  

  第6回 お話と討論 ─ 死刑 いる・いらない?  講師と概要
2月18日(土)14:00〜17:00  講師 : 森 達也さん(映画監督・作家)  

呼びかけ

 日本には120名あまりの死刑囚が存在し、その数は裁判員制度ができてからも増え続けています。「そもそも国が人の死を強制してよいのか」「被害者や遺族の感情を考えろ。彼らは死刑になって当然だ」「冤罪の可能性がある場合、とりかえしのつかないことになる」「死刑があれば犯罪を思いとどまるのではないか」―厳罰化の動きの中で、死刑制度の是非が問われています。
 近年、光市母子殺害事件などをきっかけに、「被害者側の権利」への関心が高まり、被害者の訴訟参加制度などもできました。その一方で、被告人の弁護士を「人非人」と攻撃し、死刑判決を歓呼をもってむかえる風潮も生まれています。日本社会を不寛容な空気がおおっています。それでよいのでしょうか。今回のシビル市民講座は、「死刑」に関する議論・実態を学び、どう考えるべきかの討論を深めたいと思います。

☆会場 柴中会公会堂(JR立川駅南口徒歩3分/モノレール立川南駅徒歩1分)
柴中会公会堂
☆定員 30名
 (定員一杯になりしだい締め切ります)

☆受講料 1回 1000円
(会員・経済困窮者・学生 800円/
 全回前納者 会員4000円 非会員5000円)

☆お問い合わせ/申し込み
 シビル1階事務室(平日午後1〜8時)
 電話:042-524-9014
 メール:civiltachikawa@yahoo.co.jp
郵便振替口座での申し込み可
 00170-0-481827 シビル運営委員会

振替用紙に、どの回を申し込むか、氏名・住所・電話・アドレスなどを明記してください。(用紙は郵便局にあり)


【各回の講師と概要】

第1回 2011年11月26日(土) 「死刑っていったい何なのか?─世界・アジア・日本」

 寺中 誠(てらなか・まこと)  東京経済大学教員。前アムネスティ・インターナショナル日本事務局長。共著に『裁判員と死刑制度』(2011年 新泉社刊)、論稿に『「治安悪化」というパニック』(「マスコミ市民」460号/2007年)、『死刑は、政治的意思によって廃止できる─人権侵害の象徴としての死刑』(「世界」2008年9月号)などがある。

 いまや世界では死刑廃止国が多数派。死刑を実施している国は少数派である。なぜ、こんなに死刑実施国が減っているのかを歴史的にたどってみると、近代以降の刑罰制度の変化と連動していることがわかる。こうした変化は、多くの場合、政治的な変化と結びついている。日本を含めた東アジア地域も例外ではない。東アジアや中東には死刑存置国が多いと思われがちだが、必ずしも終始一貫して死刑に対して積極的な態度を示してきたわけではない。また、いわゆる死刑によって凶悪犯罪を抑止するという犯罪抑止効果は、どの地域においても、科学的に証明されていない。


第2回 12月10日(土) 「死刑判決と死刑囚のいま─日本ですすむ厳罰化の波」

 田鎖 麻衣子(たぐさり・まいこ)  弁護士。NPO法人「監獄人権センター」事務局長。

 日本では、1990年代後半から重罰化傾向が強まり、凶悪犯罪の増加という事実がないにもかかわらず、厳罰化が顕著となった。死刑は増加し、無期刑はほぼ完全に終身刑と化した。こうした中、裁判員制度が導入されれば、進行する厳罰化そして死刑判決の増加に拍車がかかるのではないか、と懸念する声も少なからずあった。その後の裁判員裁判を見ると、罪名によって異なった傾向がみられる。死刑求刑事案に限ってみれば、裁判官裁判ではまずあり得なかった無罪判決が出る一方、従来であれば死刑の回避が可能であったともみられる事件においても死刑判決が出されている。一見すると相矛盾するようにもみえる事態だが、「公判前整理手続き」を前提とする裁判員裁判の構造を考えれば、どちらもよく理解のできる現象である。裁判員となる可能性があるみなさんと一緒に、この背景となる問題点を考えてみたい。


第3回 12月23日(金) 「死刑で治安を守れるか─中国のケース」

 王 雲海(おう・うんかい)  一橋大学法学研究科教員。1982年、中国西南政法大学卒業。同年より中国政法大学教員。1983年中国人民大学大学院、その間、人民陪審員などの身分で刑事裁判にかかわる。1984年来日し一橋大学で法学修士号、博士号を取得。1999年から2000年まで米国ハーバード大学客員研究員。代表的著書として『「権力社会」中国と「文化社会」日本』(集英社新書 IPEX2006年度最優秀作賞)、『死刑の比較研究─中国、米国、日本』(成文堂)、『日本の刑罰は重いか軽いか』(集英社新書)などがある。

 中国は、いま世界で最も多くの死刑を適用している。今回の講座では、まず、中国の立法上の死刑の罪名とその特徴、司法上の死刑適応基準と傾向、即時執行死刑と2年執行猶予つき死刑の関係などを見る。そして、死刑多用に対する批判に直面している中国が、近年死刑制度の改革に着手していることを踏まえて、中国での死刑改革を、死刑罪名の減少、適正手続きの構築、死刑執行方式の変更などの側面にわたって検討する。最後に、中国での死刑制度の課題とその将来を展望する。


第4回 2012年1月21日(土) 「永山事件と永山基準が現代に持つ意味」

 大谷 恭子(おおたに・きょうこ)  1978年弁護士登録。第二弁護士会所属。日本女子大非常勤講師。沖縄大学客員教授。連合赤軍事件、金井君自主登校裁判、アイヌ民族肖像権裁判、地下鉄サリン事件などの裁判を担当。

 永山則夫裁判控訴審弁護団をつとめ、船田裁判長による「無期」判決を得る。裁判は、最高裁で差し戻され、「死刑」判決が確定。97年8月、刑が執行された。「永山基準」は、死刑判決増加への道をひらいた。現在、永山の遺志を継ぐ「永山子ども基金」代表。
 「永山君は殺人を犯した者として死刑制度の廃止を訴えた。犯罪は仲間殺しであり、これに死をもって報いれば憎悪しか生まない。……憎悪の連鎖を断ち切り、仲間意識を再生させることが国家の責務であると。」「私は、共生社会の実現を求める者として、国家を背景とした人為的な死に対し、これからも異議を唱え、抵抗し続けて行きたいと思う。」(大谷恭子著『それでも彼を死刑にしますか─網走からペルーへ─永山則夫の遥かな旅』/現代企画室より)


第5回 2月4日(土) 「アメリカ・癒しと和解への旅から─ジャーニーオブホープの試み」

 坂上 香(さかがみ・かおり)  ドキュメンタリー映像作家、津田塾大学教員、表現系NPO法人「out of frame」代表。
主な著書として『癒しと和解への旅』(岩波書店)、『アミティ「脱暴力」への挑戦─傷ついた自己とエモーショナル・リテラシー』(日本評論社)がある。月刊『みすず』で「ライファーズ 償いと回復の道標」を連載中。

 米国では、死刑廃止を求める被害者遺族、死刑囚の家族、活動家等による「ジャーニーズ・オブ・ホープ(希望を追い求める旅)」というイベントが毎年行われている。講師は、日本国内における死刑論議に限界を感じ、1996年度のジャーニーに同行してテレビ番組を制作。以降1999年までの4年間、参加者の生活にも密着して取材を行った。そのなかで、死刑では問題は解決しないどころか、問題を増幅させているということが浮き彫りになった。最近は米国の死刑の動向と文化についての考察を行っている。映像を交えながら、死刑が当事者、社会、文化に与える影響を多角的に考えてみたい。


第6回 2月18日(土) 「お話と討論─死刑 いる・いらない?」

 森 達也(もり・たつや)  1956年広島県呉市生まれ。映画監督、作家。1998年、オウム真理教を取材した自主制作ドキュメンタリー映画『A』を発表。2001年続編の『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞、市民賞を受賞。

  森は、著書『死刑──人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う』(朝日出版社)で、光市母子殺害事件遺族の木村洋氏からのメール「死刑問題の本質は“何故、死刑の存置は許されるのか”ではなく、“何故、死刑を廃止できなのか”にあるのだと思います。……“犯罪被害者が声高に死刑を求めている”からではなく、“社会全体が漠然と不安である”から、死刑は廃止できないのだと思います。」を紹介している。そして、近年の日本で、メディアを媒介にしながら、被害者の応報感情への第三者の共鳴が拡大していること、それが人びとの不安と恐怖の裏返しの表れであることを指摘し、「これがこの国の死刑制度の本質だ」と断じている。
 「あなたがもしも存置派だとしても、僕はあなたを説得しようとは思わない。……でも僕は、あなたにこれだけは伝えたい。僕は彼らを死なせたくない。」──シビル市民講座「死刑について考えてみよう」の最終回。森達也氏を迎え、徹底討論しましょう。


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