一般社団法人(非営利型) 市民の学習活動交流センター シビル
HOME シビル市民講座 アクティブ立川 シビルバザー 貸し室利用案内 会員募集 問い合わせ・アクセス 須田学習塾
シビル市民講座 【シビル市民講座 第17期】 2011年 2月〜5月

自伝から読む歴史2
マルコムX 『完訳 マルコムX自伝 上・下』
濱本武雄・訳 中公文庫 2002年刊

完訳 マルコムX自伝 上・下(中公文庫)  マルコムXは、1965年、39歳の若さで暗殺された。本書は、のちに大作『ルーツ』を著すアレックス・ヘイリィが、1963年より彼の語る生い立ちと活動を聞き書きしていて、それを、死後、急きょ出版したものである。
 この本は、マルコムXが、その短いが変転した生涯を内面から語りつくしていて、読む者に強い印象を与える書となった。6歳のとき、父を殺され、まもなく母は精神病院に入り、家族は離散する。やがてハーレムでの賭博、ポン引き、麻薬密売の世界に入った彼は、太平洋戦争終結直後の時期、逮捕され、獄中で大きな転身をとげていく。第二次世界大戦後、高揚する世界の民族運動を前に、彼はアフリカ訪問やメッカへの巡礼を果たすなかで、ブラック・ムスリムと決別し、アフロ・アメリカン統一機構を設立し、新たな運動へと進む。その矢先での突然の暗殺……。
 1960年代、アメリカは公民権運動が高まりを見せ、他方、ヴェトナム戦争に突き進んでゆく激動のなかにあった。この時代、世界の被抑圧民族と結合し、黒人の価値と尊敬の回復を説くマルコムXは、独自の位置に立ち、やがて広がる先住民などマイノリティの運動にも大きな影響をおよぼすことになる。
 『自伝』を読むことで、この時代、そして彼の存在の意味を考えてみたい。

   ★会場:シビル ★定員:20名 ★問い合わせ/お申込みは、シビルまで(詳しくはこちら
   ★受講料:1回 1000円(全回前納 4500円/1回前納 800円/会員・学生・経済的困窮者1回 800円)

  第1回「マルコムXの少年時代」         2011年2月26日(土)夜6時〜9時
  第2回「ハーレムに生きること」            3月12日(土)夜6時〜9時
  第3回「獄中での回心」                3月26日(土)夜6時〜9時
  第4回「ブラック・ムスリム、公民権運動、そして世界」4月9日(土)夜6時〜9時
  第5回「アフロ・アメリカン統一機構」        4月23日(土)夜6時〜9時
  第6回「エピローグ」                5月7日(土)夜6時〜9時

各回の概要は下記を参照してください)      

講師略歴:加藤 晴康かとう・はるやす)さん

 東京大学大学院で西洋史を専攻。フランスの社会思想、社会運動、植民地関係史を主に研究。愛知県立大・横浜市立大で西洋史・国際関係を担当。横浜市立大学名誉教授。現在は、高校世界史教科書の編集・執筆、日本寄せ場学会の活動に携わっている。
 『ブランキ革命論集』(現代思潮社/編訳)、『ヨーロッパ近代史再考』(ミネルヴァ書房/共著)、『日本の中のフランス革命』(専修大学歴史研究センター年報2008)などがある。
 シビル会員。「自伝から読む歴史1」(山川菊枝)講師。


【各回の概要】

第1回 2月26日(土) 夜6時〜9時
「マルコムXの少年時代」


 マルコムの父は、パン・アフリカ運動に加わるキリスト教の牧師で、母もまたその運動の仲間だった。父を失った少年マルコム・リトルは教護施設へ。そこで14歳から2年間通った学校が、彼の受けた学校教育のすべてだった。この時代に黒人として育つとはどういうことだったのか。あわせて、両大戦間期の黒人運動の様相にふれてイントロダクションする。

第2回 3月12日(土) 夜6時〜9時
「ハーレムに生きること」


 時あたかも真珠湾攻撃で日米が開戦した時代、マルコムはニューヨークのハーレムに入る。黒人の魂(ソウル)の世界は、ハスラー、ポン引き、詐欺師、娼婦らのせかいでもあった。マルコムはまだ十代だが、デトロイト・レッドと呼ばれて、そこで一人前の「顔」になっていく。戦争は彼らにとって何だったのか。

第3回 3月26日(土) 夜6時〜9時
「獄中での回心」


 戦争が終わり、彼は20歳になっていた。そこで逮捕、6年間の獄中生活。このとき彼は兄や姉たちを通じてブラック・ムスリムの教団「ネイション・オブ・イスラーム」を知り、その指導者イライジャ・ムハマドと文通するようになる。それは彼にとって、大きな転機となった。同時に、彼は意欲的に読書に取り組む。彼はいう。「読書は永久に私の人生を変えてしまった」と。

第4回 4月9日(土) 夜6時〜9時
「ブラック・ムスリム、公民権運動、そして世界」


 刑を終えた彼は、マルコムXの名で教団の説教師、組織者として頭角をあらわす。だがアメリカの社会も世界も大きく動いていた。差別を受け入れず公然と異を唱える若い男女の行動が、相次いで全米を揺るがす事件となり、60年代の公民権運動の高揚へと連なっていった。第三世界の台頭は、彼にとって黒人の運命と無縁ではありえなかった。このアメリカで黒人の解放とは何か。公民権運動に向かいあい、また教団の中で、彼は新しい飛躍に進んでいく。

第5回 4月23日(土) 夜6時〜9時
「アフロ・アメリカン統一機構」


 イライジャ・ムハマドとの対立の深まる中、彼は1964年、ついに教団と決別する。この年、彼はメッカに巡礼。さらに中東、アフリカ諸国を歴訪、独立まもないガーナでは国会で演説し、エンクルマ大統領とも会見する。巡礼を果たし「エル・ハジ」となって帰国した彼は、アフロ・アメリカン統一機構を設立する。しかし、翌年2月21日、彼は凶弾に倒れる。彼は何処に進もうとしていたのだろうか。

第6回 5月7日(土) 夜6時〜9時
「エピローグ」


 アレックス・ヘイリィは、本書に長いエピローグを寄せた。それは1963年からマルコムXの死の直前までの、『自伝』作成の共同作業と、彼の暗殺の様子を、克明に記している。作業の過程は、マルコムXが教団と対立し、変化する途次でもあった。このエピローグを軸に、彼の生涯を振り返り、またその後、「ブラック・パワー」という言葉を生む60年代後半期のアメリカを展望しつつ、講座全体の総括を行いたい。
CIVIL 一般社団法人(非営利型)市民の学習活動交流センター シビル 須田学習塾 アクティブ立川
一般社団法人(非営利型) 市民の学習・活動・交流センター シビル
〒190-0023 東京都立川市柴崎町3-10-4
Tel 042-524-9014 Fax 042-595-9431 mail:civiltachikawa@yahoo.co.jp
Copyright(C) 2010-2017 CIVIL. All rights reserved.